キリマンジャロ登山

タンザニアどうでしょう 第56夜

2014年8月6日~8月18日のぶらりキリマンジャロ登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

【前夜までの「タンどう」】
登山DAY6。現地時間の8/13 深夜0時過ぎ。氷点下の空気の中、快晴な空に輝く月の光に照らされて、ハッキリと姿を見せる自分の影と共にアタックを開始した後発隊の我々4人組。山頂到着予定は6時間後。ココから垂直に1,200m先を目指すのだ。ただ単に歩き続けりゃいつかは着く筈。しかし酸素濃度は地上半分。今、未知の道のりがスタートしたのだった。

ポレポレ(ゆっくり登る)先発隊が発って早1時間。
彼らが照らしている筈のヘッドライトの灯りは前方何処にも見あたらない。

雪は積もってはおらず、岩がゴロゴロむき出しの登山道。
月明かりの下、周囲に自分の影があるのが分かるとは言いつつも。
ヘッドライトの光に照らされた足下の先を見て、
辛うじてそこが道だと分かる位に、辺りはやはり暗いのだ。

そして加えて、やはり寒い。

雪山登山の格好をしていたって、
刺すように冷たい空気の中に身を置いていることを容易に気付かせる。

毛糸の薄い手袋をはいた上、
さらにスキー用の、隙間の無い厚手な手袋をしてるはずなのに。
ジンジン染みこむ容赦の無い冷たさ。

それは、まーあれだな。
例えるなら、札幌辺りの真冬の朝。
軍手一枚で、スノーダンプで雪かきをする時の手の感じ。

「かじかむぅ〜」

…。

先頭のチーフガイド・アロンに率いられ。

一歩ずつ、一歩ずつ。
丁寧に、ゆっくりと。

暗くて足場がよく見えないと言う他は、
これと言って特別に急な斜度ではなく、
何処にでもある普通の山道。

しかし酸素濃度が薄い分、
高山病な症状に至らぬよう。
とにかく、慎重に。
地面を噛みしめながらゆっくり進む我々。

とはいえ。
ここがキリマンジャロでなければ、
トレランできないこともないんじゃね?と思える登山道。

…ちなみに、
そう思ったのは、どうやら私だけでは無かったようでして。。。

奇しくも我々がアタックした8/13。
カール・エグロフという人が、
およそ”人”とは思えない驚異のスピードで。
キリマンジャロ最速登頂記録を樹立したらしいww (by wiki)

その記録、往復6時間42分。

いや、それも最終キャンプ地と山頂の往復じゃ無いですよ。。。
我々とルートは異なるものの、麓から麓まで。

麓から最終キャンプ地まで、我々は5日間を要しているというのに、です 笑

…彼がタンどう書いたら、1夜で終わってしまうんじゃないか。。。

実は我々の下山中。
後ろからものすごいスピードで追い越していった、
場違いと思える程に身軽過ぎるピンの若者が居たのですが。
今思えば、それは彼だったみたい。。。

そんな彼。2015年にはアコンカグアも最速往復したらしい。。。

世の中にはスゴい人もいたもんです、はい。
サイン貰っときゃ良かった 笑

閑話休題。

そんな、秒速で山頂踏む男とは違って。
特に何の記録も求めていない素人登山集団の我々4人組は。

ここがアフリカの最高峰に至る路であることを、
一歩一歩を噛みしめ、ゆっくりと歩いて行くのでした。

アタックに至り、初めて取り出すストック2本。

ヘッドライトに照らされる足下をしっかりと見つめ、
とにかく慎重に前へ進んでいくおいら。

歩き始めて30分は経っただろうか。
次第に坂道が急になる。

そして。多少、高度を稼いだと思われる頃。
登りながら、ふと後ろを振り返る。

月明かりに姿を隠した明るい星空とは打って変わり。
さすがにそこは夜。
はるか後方周囲の地上は暗闇に包まれており、
どうにか慣れた夜の目には、真っ暗な巨岩が物も言わずに佇んでいるのが映りこむ。

そんな中。墨汁をまき散らしたように黒い坂の下には。
後発の他パーティが照らすヘッドライトの星たちがちらりほらりと瞬いている。

しかし、彼らがどんな道を歩いているのかも分からない。
そして、我々はどれほど進んだのか。
そして残りどれだけ進めば山頂に着くのだろうか。

頼るは、自らの時計が示す時刻のみ。
アタック開始からの経過時間から、
山頂までの所要時間を推定する。

残り5時間半くらいか?

5時間半。

普段の日常生活における時間のモノサシから考えれば、
そんな時間、さして大したことも無い時間。
ボケーッとしていれば、あっちゅう間に過ぎていく時の流れ。

しかし、登山における時間の濃さはやはり違う。
同じ時間でも、それはキリマンジャロ山頂に至ることが出来る時間。

このキツくて寒くて辛い道程。
それが、どんなにやる気を奪いかねないと思わせる時間だとしても。
とにもかくにも歩き続きさえすれば山頂に到着し得る時間。
 
 
そう考えると。
逆説的ではあるけども。

単純に一歩一歩、歩みを止めずに過ごせば、大きな結果を導くのだなぁ〜。

…なーんて、特に会話も交わさない我々パーティの中で、
おいらはふと、そんな事を考えて登って行くでした。

山頂まで残り5時間半。

…。

まぁ、『沈まぬ太陽』と『クライマーズ・ハイ』の映画を立て続けに観るつもりで登れば、きっと着く!笑

第57夜へ続くっ!

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