2014年8月6日~8月18日のぶらりキリマンジャロ登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。
【前夜までの「タンどう」】
登山DAY5。8/12。山頂アタック前、最後の宿となるバラフキャンプへ向け、標高差600mの緩い坂道をポレポレと歩く我々。周囲に植物の姿は既に無く、ただただ赤茶けた大地が何処までも広がっているだけだった。3時間強を経て昼過ぎ、ついにとうとう山頂へ臨む入り口へと辿り着くのだ!
考えてもみれば、今は8月中旬。
しかも赤道付近の緯度に立っているわけである。。
しかしそんなことは、すっかり忘れてしまいそうになるほど冷たい空気。控えめな色をした青空からは、太陽の直射光が確かに隈無く全身に届いているのを実感しているはずなのに。まるでテレビの中の世界を見ているかのように、その暖かさは見えるほどには自覚しない。熱だけ周囲の雲に奪われてしまったのだろうか。
…。
「なんなんだ、このドリーム感は!」
まるでなんだか夢の中にでもいる気分。…なんちゅうか。昔、一人暮らしを始めた頃、出汁を取ることを知らずに初めて作った味噌”スープ”を飲んだときのような。。。目の前に広がる風景が余りにも非日常的すぎて、地に足の着いた現実感を伴うには何かがきっと足りないのだ。
標高4,000mを軽く越えた登山道の周囲においては、植物の気配はもう無くて。水気を失った黄な粉のような砂埃が、歩く我々の足下から黙々とわき上がり続けている。
地上に比べ、酸素濃度は既に6割にまで低下している高度ではあったが、まだまだ空気の薄さを実感するほどでもない。とはいえ、寝不足がテキメンに効いたと思われる高山病による頭痛症状は、この日も登山開始と共に現れ、徐々に痛みを増していくのであった。。。
「ハーイ!写真撮るんで、こっちむいてくださーい!」
添乗のマロン隊長が、いつの間にやら隊列から脇に逸れていた。キリマンジャロ山頂をバックにして、我々チームPEPEPE一同が一列に映るようカメラを構えてくれている。
流石に5日目の山行ともなると、道中会話のネタもだんだん途切れがち。非日常感満載の風景ではあるものの、余りにも広すぎかつ何処までも同じ様な景色が繰り返される大地を単調に歩いていると、どうしても自分との対話の時間と相成ってしまうのだ。
「さ、じゃぁ、この壮大な景色を見て、なにか一言コメントしてみてよ!」
チームPEPEPE随一の絵も描けるクライマー女子・HAMAさんが、山歩きに飽きたのか。突然、おいらに無茶振りで挑んできた 笑
……。
期待されると、かえって気張って上手くいかなくなるおいら。。。
おいら「。。。」
…。
おいら「うーわぁ。見て〜! 山のぉ宝石箱や〜!!」
一同「。。。」
閑話休題。
既にこの時点で。チームPEPEPEの面々からは、今回の山行旅行記の執筆を期待されていたおいら。
何をするにしても、まず形から入る身である私と致しましては。道中、会話が途切れる度に、その旅行記のタイトルをどうするか思案を重ねておったわけです。
「…うーっむ。やはりここは、ヘミングウェイをオマージュして『キリマンジャロの月』とするか。。。」
今回のツアー期間中に、ちょうど満月を迎えるが故の発想。。。
「……オマージュと言うより、ただのダジャレだし。。」
将来、北海道が産んだ偉大な作家兼詩人としてWikipediaに掲載される私としては。やはり北海道が産んだ偉大な諸先輩作家達にちなんだタイトルの方が良いかしら。。。
「三浦綾子の『氷点』にちなんで、『山点』とするか。。。」
…。
「…それじゃ、まるで目薬だし。。。笑」
しかもツアーメンバの中には、同業他社にお勤めの方もいらっしゃることだし、そのタイトルはよろしくないだろう。。。却下!
「そうなると、、、渡辺淳一の『失楽園』にちなんで、『山楽園』とするか。。。」
「ん?…なぜか、急にラーメンが頭に浮かんだんですケド。。。」
「って、そりゃ幸楽苑だし!」
…。
「…うーん、『山楽園』悪くないけど、『失楽園』にインスピレーションを受けたタイトルだとは誰も思わないような。。。いっそ奇をてらわず、素直に『山の楽園』というタイトルにするか?」
「…!!」
「うん、そうだ!それで行こう!! そして毎回書き出しは『私ね、思うんですよ。人生には山が必要だってね。』とする!!」
「…? なかなか悪くないよね??」
「?」
「だめ?」
…orz
っと、まぁ、以上のような紆余曲折を経て。結局、北海道と言えばっ!ということで決まったこの「タンザニアどうでしょう」笑
お楽しみ戴いておりますでしょうか?
気が付けば、本日のキャンプ地も目の前に迫り。最後の急坂を登るところまで来ておりましたが、まさにその時でした!
その急登の上にあると言われたキャンプ地を見るべく、頭を上げたとき。
なんと目線の先には、今にも崩れ落ちそうな古びた小屋が、偶然のバランスを保った感じで崖の突き出た場所に建っているではありませんか!!
…ええ。そう。
ご想像の通り、それはトイレであるという。
まさに空中トイレ。
「寝ぼけたまま用を足そうもんなら、ココが最後の楽園になるわけか、、、山を愛した男の失楽園だなぁ。。。」
…なんだか旨くオチた気がするので、今夜はここまで 笑
続きは第51夜!