2014年8月6日~8月18日のタンザニアぶらり登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。
【前夜までの「タンどう」】
登山DAY3。8/10。本日の行程で最高地点のラバタワー、標高4,600m。昼食を済ませた我々は、高度にして約700m下にある本日のお宿・バランコキャンプに向け、少し急な坂路を慎重にゆっくりと下って行くのであった。ふと振り返れば、そこには見る者のコトバを奪う圧巻大迫力の山頂の姿。不意に目頭が熱くなり、畏敬の念で全身が満たされた。
雄大に流れるトキに身を任せるまま鷹揚として存在していた山頂。そいつは初秋の朝のようなキリリとした肌寒い空気の中にいて、まるで常夏の島を彷彿とさせる、陽炎のようにマッタリとした時間を醸し出していた。
「なんくるないさー!!」
当時、高山病と思われる頭痛症状に襲われていたおいら。6,000mに迫ろうという山に挑むにあたり、その時点での高山病発症は明らかに予想外の出来事だったのだ。それでも日本出発前には、高度順応と銘打ち、おそらく人並み以上と思われる事前対策はしてきたつもり。大仰に言えば、そんな「努力」もしてきたんだもの、、、人事を尽くしたダケに、あとは天命を待つしか無かった。
バランコキャンプに向かう下り坂を歩くにつれ。いつしか目線正面の登山道の先には、飛行機の窓の外を見たときのような無限の雲海が広がっていた。港に浮かんでいた小舟が、いつしかその舳先を伸ばすコトで満潮の訪れを告げるように、眼前にあった登山道はいつのまにかその姿を消しており、雲海が目と鼻の先まで黙々とせまりつつあることを知らせていた。
本日のお宿であるバランコキャンプは、バランコバレーと呼ばれる渓谷の中にある。
キリマンジャロと一口に言っても、実はその峰は三つあったりするのだが。今回我々が目指す峰であり、三つの中で最も高いピークとなるのがキボ峰だった。およそ50万年程前からの噴火によって形成された、三つの中で最も若い峰である。バランコバレーは、そのキボ峰の外輪山の裾にあって、おそよ10万年前に発生した地滑りで形成された渓谷と言われている。
そんな谷を目指してひたすら歩く8人のメンバー。と、ガイド4人たち。
時刻は14時を過ぎ。キャンプ地まではそれでもまだまだ数時間はかかろうかという雰囲気。
下り坂とだけあって、あまり疲れず体力には余裕があるモノの。朝の出発からすでに6時間ばかりが経過して、加えて天気もなんだか下り坂。体力的には問題無くとも、精神的な疲労感がメンバー間の会話を途切れがちにし始めていた。
そんなときに活躍するのが、メンバーが打ち合わせもなく、誰ともなしに口ずさみ始める唄だった。気晴らしじゃないけれど、大声を上げることで、なんとなく気分も上向きがちになるのである。
「♪きみのぉ〜ゆくぅーみちはぁ〜、、はてぇしぃーなくぅ〜とぉおいぃいぃぃー」
「♪だぁのにぃーなぁ〜ぜぇー…」
「♪…そぉんなぁにぃしてぇーまでぇーーーー」
この時、大阪組4人が歌いだした曲は。その歌詞が我々の現状といかにも合致していた上に、その歌声が余りにも美しく。東京組3人の耳に心地よく響いたのである。
…負けずぎらいの東京組3人。こいつは負けてはいられないからと、間髪入れずに歌い継ぐ。
(三人で)「♪めぇおとぉじぃてぇーなぁにぃもぉみえぇずぅーーー」
(一人減り)「♪かぁなしぃくぅてぇー…???。。×△□◎ふぅうんふんふーーん」
(三人)「♪…。。。? ………。」
…。
(おいら)「♪…ふんふん、ぁせぇよぉ〜」
(三人で)「♪わぁああーぁれぇわぁあぁ〜ゆくぅ〜〜。。。?」
(三人で)「♪…?。。ふ、ふ、ふふふ〜。ふ、ふっふ、ふふふ、ふーーー。」
「………笑」
そう! 我々東京組の大問題は、口ずさんだ歌の全てにおいて、誰も責任を持たないというか。。。誰一人、それらの歌を最後まで唄えないという。。。しかも、サビさえ満足に唄えない。。。が、しかし、それでも懲りずに唄いだす3人。。
(三人で)「♪あめぇー。さぁん、さんとぉぉおおおーーー」
(一人減り)「♪こぉーおのぉ〜、みぃにぃ、、、?………てぇえーー……。」
アロン「…ぺぺー!!」
隊列の最後を歩く、メインガイドのアロンが奇声を上げる。
「…のど自慢の鐘じゃあるまいし・・・orz」
アロン「ぺぺぺーーー」笑
…ガイド達が属するチャガ族の言葉。HAPPYを意味するチャガ語「PEPEPE」。我々の歌声に業を煮やしていたのか何なのか。時たま叫ぶこのコトバ。我々も何となく言い返すノダ。
ガイド「ぺぺぺー」
我々「ぺぺぺぺぺーーー!!」
余談だが。山行中の道すがら。
今回のツアーメンバーのチーム名を決めましょう!という話になっていた。
帰国後の今となっては、どのタイミングで決まったのか全く覚えていないのですが。いつしか、このHAPPYを意味すると言われる「PEPEPE」が、そのままチーム名として採用されるに至ったのであった。「チームPEPEPE」の誕生である!ようやく、一部写真のキャプションに書かれていた「(C) TEAM PEPEPE」が繋がりましたね!笑(このキャプション付き写真は、同行者が撮ったモノを使わせて貰ってます)
…。
だいぶ高度を下げた午後3時過ぎ。霧の中をひたすらにドンドンと下っていく。
周囲には、キリマンジャロ名物のジャイアントセネシオなど。独特の形をした植物があちらコチラで。おいらを手招きしているかのように、やや不気味な雰囲気を漂わせながら立っている。
それにしてもその巨大な姿!
霧の中で比較するモノが何も無いにしても、自分の背丈以上の奇怪な植物。1人で歩いてたら、なんだか薄気味悪そう。。。
周囲は、渓谷らしく川も流れており。我々は時にそれに沿って降りてゆく。何となく湿度も高く、肌寒い。
その頃、いい加減に下り歩き飽きたチームPEPEPEのメンバー達は、添乗のマロン隊長にかるく当たり出す。。。笑
「一体全体、まだ着かないんですかぁ〜???」
「もう少しです!」
おいらは、ちょっと力なく応える隊長の声を聞きながら。
昼より酷くなる頭痛の痛みに何とか耐えながら。
白いガスに覆われた、先の見えない登山道をひたすら前に進んでいくのであった。
次夜、遂にキャンプ地か? 第44夜へ!