キリマンジャロ登山

タンザニアどうでしょう 第42夜

2014年8月6日~8月18日のタンザニアぶらり登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

【前夜までの「タンどう」】
登山DAY3。8/10。本日のお宿・バランコキャンプに向け、ひたすら歩く歩くの8人メンバー。標高も4,000mを越え、ぐんぐん迫るキリマンジャロ山頂の姿。そんな大パノラマ風景を他所に、おいらは1人、高山病と思われる頭痛症状に悩まされ始めたのだった。。。本日の最高地点であるラバタワーで昼食を取り、あとはキャンプ地まで下るだけ。果たして頭痛症状は治まるのか。。。

一時間弱の昼食休憩を経て。
向かう先は、本日のお宿・バランコキャンプ。標高3,900mの地点。

昼食休憩のラバタワーが標高4,600m強だったことを考えると、そこからおよそ700mも垂直に下るらしい (^^;)

「いやーはやー、折角登ったのに。。。」

ちょっと勿体ない気もしないでも無いが。
だが、このコース取りが、今回の我々ツアーの肝でもあったのだった。

山頂に通じる複数ルートの中でも全登山者の1/4が利用すると言われる、このマチャメルート。

世界中から訪れる登山者の半分、日本人登山者だけに限れば9割以上が選ぶという、通称コカコーラ(が途中で買えてしまいそう思える位にメジャーな)ルートであるマラングに対し。我々ツアーメンバが果敢にも挑んだのは、ちょっぴりタフな登山を要求するマチャメコース。コカコーラなマラングに対し、こいつは俗にウィスキールートなどと呼ばれているそうだ。きっとマッサン効果だろう。

マチャメは、通常5泊ないし6泊のコース。とはいえ、三日目からは、アタック前日の五日目に至るまで標高4,000m前後をフラフラ歩く行程。登頂成功率も高めとなるコース。

そう! 一定の高度を数日保つことによって、高地に順応した万全の体調をゲットし、山頂に向かって一抹の不安もないアタックを試みるノダ。

そういう予定だったのだ。。

…。

ええ。そうです。
しかし当時、私はアタマが痛かった。

そう、それはつまり。既にそのトキ、私は言うまでも無い、紛れもない高山病の症状に苦しんでいたのでした。。。。。。

アタ、タタタ。。。色々な意味でイタい。。。。

折角、ここまでは順調に登ってきていたのに。。。
こんな4,000m位の土地で高山病になってしまうとは。。。。。

月給数ヶ月分の旅費を掛けてきてるんだぞ!
高地順応と題し、直前に二度の富士登山を敢行してきたのに、、、
山頂アタックすら出来なかったらどうしよう。。。orz

まさにアフターフェスティバル。

もうこうなったら、本日のキャンプ地に下って症状が緩和されることを祈るばかり。自分が知る限り全ての神様仏様にお祈りを捧げるのみだった。。。

(C) TEAM PEPEPE

…。

高山病に焦るおいらを尻目に、黙々と歩く我々パーティ。

700mも低い場所へ向かうとだけあって、登山道はやや急な下り坂。
植物はもう何処にも見あたらない。そんな岩場な路を、登った分だけただただひたすらに降りてゆく。。。

天気はといえば。
進行方向から、空はなんだか曇りがち。
気温は寒くもなく暑くも無く。

登山らしい原色な上着を身にまとい。8人の我々はアリのように一列となる隊列を組んで、慎重にゆっくりと歩いていく。黙々と。

そして。時たま交わす会話が暫く途切れるタイミング。
先頭を歩くガイドのサイモンが見計らって気付け声を掛けるのだ。

「どぉくたーぁ、っさー」

ハッ!

…頭上の天気は悪くなく。風の音も何一つ、音らしい物音もせず。耳に入るは目に入りきらなかった巨大感だけ。そんな広大な空間を無言で歩いていると、なんだかキリマンジャロの迫力に飲み込まれてしまいそうになるのだった。

…。

下り坂だけに、転倒防止も兼ねストックを使うメンバーも何人か。

一方、私はというと。別に格好を付けてるわけじゃないけど、手が自由にならないのがイヤな性分なのもあって、なんとなく手ぶらで歩いていた。

山行中、ストックも何も特に持たない者にとって。
両手が自由な下り坂は特に、どうしたってなんだか手持ち無沙汰な気分になる。腕の置き場所に困るというか。。。危ないとは判っていても、自然となんだか腕組んで歩いてしまうのだ。

しかし、そこは百戦錬磨のガイドさん。

そんな危険な山行スタイルを見逃すことなく、ちょいちょい「デンジャラスだから止めなさい!」と指摘する。それは同行のドクターもそうだった。

「どぉくたーぁ、っさー! それでんじゃらっすっだっさー」

…なぜか。同じように腕組んで歩いていた私には、注意こそすれ「えぇんじにあっさー」という呼びかけは無い。。。。。。それはやはり、語呂的に言いにくかったからなのかもしれない。。。。そしてそうでないかもしれない。。。。。。

昼食休憩から出発しておよそ30分。

ふと振り返ると。そこには標高4,000m越えの青空をバックにした巨大なキリマンジャロ山頂が佇んでいた。

それは、私がこれまでの人生で見てきたどんな景色も決して及ばない、群を抜いたど迫力。

「・・・・。」

…。

「うっ。。。」

…。

「・・・まじか。」

「いや・・・・まじか。。。。」

「…あっ、、、いや・・・っん………。」

………。

コトバがでない。
コトバに絶する。
コトバを失う。。。

そんな瞬間は産まれて初めて。
初めて、文字通り息をのんだのだ。

(C) TEAM PEPEPE

その迫力は、どんなに腕良いカメラマンをしても写真だけでは決して伝えきれないと思う。
この先の未来。どんなに科学技術が進歩しようとも。どんなにグーグルアースが進化しようとも。ホンモノだけが伝えきれる景色。そんな風景がこの世の中にあるなんて。。。

気が付けば。
サングラスの奥の瞳に自然と汗が流れはじめていた。マジバナで。。。

「くぅー、ちきしょー!! キリマンジャロ、サイコー!!!」

第43夜へ!

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