キリマンジャロ登山

タンザニアどうでしょう 第55夜

2014年8月6日~8月18日のぶらりキリマンジャロ登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

【前夜までの「タンどう」】
登山DAY6。現地時間の8/13 深夜0時を過ぎた頃。ポレポレ先発隊を見送って約一時間。おいらを含む後発隊4人+ガイド2人も、とうとう山頂を目指して食堂テントを後にする。時差+6時間の日本は、もうすでに日の出の朝を迎えた時刻。6時間後、朝のバトンを受け取るアフリカ最高峰の地に、果たしておいらは立つことができるのだろうか!?

いっやー、長かった… 笑

登頂開始に至る54夜。
そのくらいの日数をタンザニアで過ごしていたんじゃないかと思ってしまうほど。。。
お付き合い戴きありがとうございます。

さあ、いよいよホントに本当のクライマックスです!

新たな日付を迎えた8月13日深夜0時。

ゆっくりペースで登頂を目指す、大阪組3人のポレポレ先発隊が出発してから約一時間。
その間、食堂テントで出発前の軽食をつまみつつ、
ただただ無言でその刻が訪れるのを待つ後発隊4人組。

テーブルの上には。たった一本の揺らめくロウソクの光が、
氷点下に迫る空気に充ちたテントの中を見た目だけ暖かく包み込む。

そんな食堂テントの中。

恐らく自問自答を繰り返していたであろう無言の4人。
たまに交わす言葉は空虚で、何処かぎこちない。

身体はココに居るのに、心だけが焦って。
ひょっとしたら辿り着けないかもしれない、
遥か6,000mに近い山頂に向かって、我慢も出来ず。
もうすでにガイドも無しに歩き出してしまったのだろうか。

自分の身に一体何が起こるのか。
果たして無事に山頂に到達できるのだろうか。

これから始まる未知の経験。
不安と。山頂に到達できないかもしれないという焦り。

キリマンジャロ登山は人生の義務では無い筈なのに。
それまでの登山の中で、こんなにもの緊張を強いられる経験は初めて。

いつか観たテレビのキリマンジャロ登頂番組。
観ているだけと、実際に自分が挑戦することとの違い。

実際に経験する者だけにしか味わえない緊張感が、
無言のテントの中で地に足の着かない4人の心を徐々につなぎ止め。

そして時刻が0時を廻る頃。
俄にテントの空気が一つになった時。

ガイドのアロンが出発の刻を告げたのだった。

…。

既に多くのパーティが出発してしまった後なのか。
テント周囲のキャンプ地は、酔いそうなほどの明るい月灯りの下、
時たま過ぎる夜風を受けつつ、ただ静寂の刻を刻んでいる。

いつしか天頂の雲は何処かに消えていて。
昼間の光を夜に届けるに過ぎない十六夜の月の灯りが、
向かう先にキリマンジャロ山頂の姿を。
今まで見たことのない、未知の姿として浮かび上がらせている。

「さ、行くか。」

おいらを含めた4人とガイド2人は気合いを入れて。
ついにキャンプ地を後にした。

ステップバイステップ。

まだまだ標高4,600mの地を。

一歩一歩踏みしめて。

いつもの登山と感じは同じ。

いつもと違うは。その目的地だけ。

行けるかな?

行けるよね?

なんか、行ける気もする?

あれ程までに身を包み込み、
テントの中でおいらを悶々と苦しめた緊張感の泥沼は。

一歩一歩の歩みを続けるうち、
いつしか、そいつは溢れるばかりの期待感に変わっていた。

挑戦することに意義があっても、
挑戦するからには成功させなきゃ。

夢にまで見てやってきた、キリマンジャロ。
そのゴールを目指し、今まさに本当のスタートをきった瞬間。

行ける気がする!!

いや、おいら、絶対に山頂に立つ!

登山の醍醐味のようなものに全身が充たされ。
おいらはついに山頂に向け、アタックを開始したのであった。

第56夜へ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です