キリマンジャロ登山

タンザニアどうでしょう 第54夜

2014年8月6日~8月18日のぶらりキリマンジャロ登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

【前夜までの「タンどう」】
登山DAY6。8/13。短い仮眠タイムを経て訪れる五日目の深夜23時頃。それまで静まりかえっていたキャンプ地一帯が、アタック時間を間近に控えて俄に動き出す。ついに、そう遂に!2008年富士山登頂後に一発吹いた「オレ、今度はキリマンジャロ登るわ!」宣言。瓢箪の口には今まさに、文字通り「叶う」と名付けた駒が顔をのぞかせているのだった。

23時起床と言われつつも、その少し前に目が覚めたおいら。
風の音なのか、声は聞こえないモノの。
なにやら騒がしい雰囲気が、既にテントの周りを漂い始めている。

ついに、そう遂に。
山頂アタック、本番のトキが訪れた。

登山開始までは約1時間。

単なる布一枚だけを隔てたテントの中は、流石にヒンヤリを通り越す真冬の寒さ。
恐らくギリギリ氷点下の気温だろう。

ヘッドライト無しには手元もおぼつかない。
そんな真っ暗闇のテントの中は、まるで乾燥した空気が張りつめていて。
なんだかそれが、より一層の焦りと共に、必要以上の緊張感を醸し出しているのだった。

就寝前に揃えていた、アタック用の服装に着替え始める。
そして、最後にもう一度、ライトに照らされたザックの中身を最終確認。

「途中で食べる行動食はコレだろ?」

「途中で寒くなったら、コレを中に着ればいいだろ?」

。。

………。

「……やっぱり、アレも持って行くかぁ。。。?」

「……有ったほうがよいよね・・・?」

…。

アタック中に起こるかもしれない出来事、アレやコレ想像したりして。

ザックは極力軽く。

…判っていても。でも確実に山頂に至りたい!

登頂率50%と言われるキリマンジャロ。

幸い、高山病の薬が効いたのか、その時点では、頭痛も特になく。
体調はすこぶる順調。

でも、余計にそのことが。
5,895mの頂へ至るアタック中の、起こるかもしれない予期せぬ波乱を否応なしに思い起こさせるのだった。

直ぐに出発できるようにと、荷物はテントの出口付近にまとめて置いておく。
起床時間には少し早いものの、テントの外に出てみることにしたのだ。

すると驚く。

就寝前に。まるで空に隙間なく蓋をしたかのようだった厚い雲たちが。
キリマンジャロ山頂を厚く閉ざして、ドンヨリとしていたあの燻し銀の雲たちが。

いつの間にやら、ウソのようにその姿を消し去っていて。

満を持しての快晴の空。

その吸い込まれそうになる深淵の濃いブルーの天頂からは。
いま、山頂へと誘う十六夜を過ぎた月の光が強く、キャンプ地の周囲一帯、そして多くのクライマーたちの身体を歓喜の色で染めているかのようだった。

ハッキリと山頂に臨むと。
月の光に照らされた氷河の存在が、星々の微かな瞬きの中で一際に白く輝いているのが目に届いてきた。

(C) TEAM PEPEPE

「ついに、あそこに向かうんだな。」

標高4,600mのココから見える山頂。
その頂へは、まだまだ垂直に1,300mも高度を稼ぐ必要があるノダ。

“New Map of the KiLiMANJARO NATIONAL PARK (C) 1998 AND 2003 BY GIOVANNI TOMBAZZI”に道程を追加
“New Map of the KiLiMANJARO NATIONAL PARK (C) 1998 AND 2003 BY GIOVANNI TOMBAZZI”より、日付を修正

今いるのが、アタック前の最終キャンプ地・バラフ。

我々チーム・ぺぺぺの参加者は、ガイドのマロン隊長を除いて全部で7名。
今日までに至る山行中の体力状況を鑑みて、大阪組の3名が先発隊として、23時過ぎにポレポレ(ゆっくり)一足先にアタック開始!

そして遅れること1時間。深夜0時を廻った頃。
おいらを含めた残り4名が、後発隊として一般的なタイムスケジュールで後を追う形。

…。

バラフキャンプから出発した後、我々はおよそ5時間をかけ急登を登り、まずは山頂へと至るカルデラの縁・ステラ・ポイントを目指すのだ。

そこは。
そこにさえ到達することができるならば。
ひとまず、公式な登頂証明書がゲットできる場所。

富士山みたいな感じかな。

そしてステラ・ポイントを後にして、その縁に沿ってさらに登り続けること約1時間。

予定時刻にして午前6時過ぎ。

ご来光を拝みつつ、アフリカ大陸最高峰・ウフルピークに到達する予定。

そう。あくまでも、予定である。。。

…山頂に到達することだけを考えてやってきた、ここ、タンザニア・キリマンジャロ。

泣いても笑っても。

緊張してても、してなくても。

出来ることはもう。
目の前にある坂を、ただただ歩き続けるだけ。

一歩ずつ歩み続ければ、いつかは辿り着く。
この路に間違いはない。

(C) TEAM PEPEPE

テントを出たおいらは。
凍える空気の中、食堂テントへと向かう。

すでに時刻は23時過ぎ。
そこには、出発を直前に控えた大阪組参加者3名と添乗のマロン隊長。
そしてその3名を強力サポートする、最強の現地ガイド軍団3名。

合計7名の先発隊パーティが、円陣を組んでアタック開始前の気合いを入れるところだった。

まるでバンジージャンプの順番を次に控えたような気分で彼女たちを見つめるおいら。

覚悟を決めたかのような、突然キリッとした表情になった3名のクライマーたち。

「お先に行ってきまーす!!」

「気をつけて!!」

ゆっくり、ゆっくりだけども、確実に。

先発隊のヘッドライトの明かりが、確実に小さくなるのを見つめる。

先発隊を見送った後、急に静かになった食堂テント。

後発隊の4名は。
アタック前の軽食をつまみつつ。

ついに。眼前に訪れたアタック開始のトキ。

次夜、5,895mの頂へ向けて出発です!

第55夜へ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です