キリマンジャロ登山

タンザニアどうでしょう 第52夜

2014年8月6日~8月18日のぶらりキリマンジャロ登山&サファリ旅の記。
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

【前夜までの「タンどう」】
登山DAY5。8/12。アタック開始まで残り12時間を切ったバラフキャンプ地のお昼過ぎ。キリ山頂が名実共にいよいよ目前に迫る標高4,600mのベースキャンプは、アタックを直前に控えたクライマー達の異様な緊張感で満ちていた。日付変わる深夜0時過ぎまでの僅かの時間、ここでコンディションを整え、ただただ山頂のことだけを考え過ごすのだった。

7大陸最高峰の一つであり、独立峰としては世界一の高さを誇るキリマンジャロ 5,895m。

社会人一年目の夏、会社同期と登った人生初の富士登山からの下山後。9割ノリ(ほぼ冗談)で発した「オレ、今度はキリマンジャロ登るわ!」というゴーマニズム登山宣言。

周囲はモチロン、自分自身でさえ微塵も本気になどしておらず。よくある「いつか行けたら良いね」レベルの軽めの一言。

しかし、色々な偶然が重なり。いつしかそれは「行きたい」となり。そして気が付けば「行く」になっていた。

「行きたい」から「行く」。

そして今。おいらは、アタック直前のキャンプ地に立っている。

キリの頂を目指し、同じ目標を掲げて偶然出会った登山素人集団の我々チームPEPEPE。2年半に及ぶ準備期間を経て、ついに、キリマンジャロ山頂へ向け最後の扉を開くのである。

(C) TEAM PEPEPE
(C) TEAM PEPEPE

高度計が確かに示す標高4,600m越のキャンプ地に到着した我々は、先行して到着したポーター達が準備してくれていた食堂テントに集まり昼食を取る。心なし、交わす会話はやはり少なめ。12時間後に迫ったアタックへの緊張感が、テント中に漂っていた。

「えーっと、それじゃぁ、この後のスケジュールについて説明しますね。」

ツアー添乗のマロン隊長(…ツアー会社の日本人です、念のため 笑)が、いつになくマジメな雰囲気で静かに語るように話し始める。

隊長「この後、夕方5時半の夕食までは自由時間になりますんで、アタックに向けた持ち物や服装の準備を整えるなどして過ごして下さい。」

我々「…了解です。。」

隊長「夕食を済ませた後は仮眠を取っていただき、、、そうですねぇ、これから現地ガイドらとミーティングして決めますが、山頂アタックは恐らく深夜0時頃に為ると思います。」

我々「…ハイ。」

隊長「夕食は、たぶんインスタントラーメンか何か、軽めのものが出ると思いますが、、」

我々「うんうん」

隊長「そしてアタック前にも、一応軽食が出るんですけど、、、もし食べられなかったらムリに食べなくても結構ですからねー。」

我々「……うーん。確かにアタック直前ともなると、緊張で喉を通らないかもー (^_^;)」

隊長「ええ、ええ。そういう方はムリせずに、、、そうだなぁ〜、出来ればゼリーとか流動食系のものを食べとくとイイかもですね!」

我々「……。」

隊長「ゆっくり登っていくと言っても、やはり体力使いますし。途中でお腹空いても、寒くてなかなか取り出して食べられないですからね〜。」

我々「え!?」

隊長「ん?」

…。

我々「……。…だ、だって隊長。ここ、近くにコンビニとか見かけないんですけど。。。」

隊長「ん??」

我々「…だって隊長。。。アタック前にゼリーとかがイイなんて、いま初めて聞いた気がしないでもないでもないんですけど。。。」

隊長「ん。」

全員「・・・・。」

こうして、アタック直前の土壇場ワンポイントアドバイスをゲットした我々。
為す術もなく今はただ、ただこうして食堂テントでゼリーを脳裏に浮かべて深夜のアタックに思いを馳せるのみであった。。。笑

…。

昼食後マイテントに戻ったおいらは、アタックに向けての準備を整えることに。

アタック開始予定時刻は深夜0時頃。
標高4,600mのバラフキャンプを出発した後、山頂まではおよそ6時間の行程。ココからさらに垂直方向に約1,300mの高度を上げることになる。

深夜、ヘッドライトを照らしながら向かう山頂は、寒けりゃマイナス20度にも至る場所。産まれて初めての経験。。。

ドンナフクソウデノボレバイイノカシラ。。。

服装に関する事前のブリーフィングもあったものの、頭の中はもはやゼリーのことでいっぱいいっぱい 笑…
高山病の影響だろうか、キャンプ地に到着してからさらに酷くなる頭痛のためか、頭の思考回路も遅れがち。。。

山行中の持ち物は、極力軽く。
30Lのザックに、万が一の調整用防寒具に加え、手軽に取れつつ高カロリーな行動食と暖かいお湯を入れる水筒のみ。

飲み物。コイツが曲者で。
登山中いつでも気軽に飲めるという、長いストローのついたプラスティックなハイドレーション水筒など使おうものなら、山行中、途端にチューブ内の水が凍って飲めなくなる。そのため、アタック前に配られるお湯を水筒に入れて登っていくのである。

登山で6時間だったら、わりと普通の山行時間。
しかし、普通の山登りとはやはりワケが違う。

何かあったらもう良くない、未知の標高5,000m越え。
その頂は5,895m。どちらかというと、ほぼ6,000mに近いその高度。

酸素濃度は地表の半分。
気温はマイナス二桁レベルな世界を数時間も歩くことになるノダ!

すでに摂氏10度を下回る空気漂う一人テントの中で。
アタックに向け、ザックの中身を確認し。
そして、アタック時に着ていく服装の準備を整える。

何度も山行中のイメージを脳内で繰り返す。

「…もし寒くなったらこの服をザックから出して着れば良いだろ?」

「水が飲みたくなったときに直ぐ飲めるには、、、ココに入れておけばいいかな?」

「行動食はココに入れておくだろ?…てか、どの順番で食べようかな?それによって入れる位置変わるし。。」

「ホッカイロは酸素足りないから持って行っても意味ないし。。。」

「…はぁ〜。手袋の予備、どうすべかな?持って行こうかどうしようか。。。。。」

「…財布どうすっべか?パスポートは??」

「山頂に着いたときに何かメモするかな?メモ帳持って行こうかな?笑」

「…! 途中で大きい用を足したくなったらどうすんべ?…やっぱトイレットペーパーも必要だべな!!」

「…うーん。寒さでカメラのバッテリーが持たないこと考えて、予備分もう一個追加しとくかな。。。」

「あっ!山頂で掲げるので買ったタンザニア国旗を忘れてた!入れておかねば!」

緊張感で気が重くなるのに比例し、ザックの中身もどんどん重くなる。。。笑
(ま、財布とパスポートは持たずに登りましたけど)

…。

時刻は15時過ぎ。
17時半の夕食まではまだ僅かに時間が残ってる。

ドンドン迫るアタックまでの時間。
泣いても笑っても、とうとう本番のトキがやってくる。

高山病による頭痛を緩和するため、取り急ぎ頭痛薬を投入し、おいらは軽く昼寝をすることに。

さぁ第53夜へ!

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