大学院2年生だった2007年8月末。
徐に思いつき、一人で向かったエジプトの旅日記。
帰国後、mixi上に書き溜めた未完の旅行記を完結すべく、一先ず公開済み記事を誤記脱字以外はそのままの姿でリターンズしてみる!
※古い話題が随所にありますが、2007年執筆当時のママにお送りしております 笑
2007年8月27日~9月3日のエジプトぶらり一人旅の記
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。
前夜までの「エジどう」→
エジプト観光第1日目は、あの三大ピラミッド群と初対面。デカさに圧倒。
念願の砂漠キャンプに向かうため、翌日夕方バフレイア・オアシスから
キャンプ地へ到着。砂漠の夕日を見送り、白砂のような星を迎える。
第32夜は、夜の帳が下りるなか、
キャンプファイアーの側で晩飯を戴くところから。
あたりは濃いブルー。
漆黒のシルクに碧いインクを垂らしたような、
そんな空気を吸いながら。
おっさんはランクルの側に絨毯を引き、
ランクルから食料の入ったケースを持ち出す。
周囲に落ちている枯れ草を集めて、
ちいさなちいさなキャンプファイヤーを灯しだす。
キャンプファイヤーと言っても、あくまで役割はランタンさ。
調理はあくまで、キャンプでよく使うミニガスコンロ。
おっさんは手際よく、鍋にいろいろな食材をぶち込んで
おいしそうな匂いを作り出している。
おっさんの息子・ガエディは一生懸命枯れ草集めを手伝っている。
周囲の視界が徐々に悪くなる。
突如、ガウディが何かを追ってか走り出す。
ガウディの向かう方向を、目をこらして見つめると、
そこには、どこから湧いてきたのかわからない
一匹のキツネが追われていた。
おっさんの作り出す匂いにつられて誘い出されてきたらしい。
んで。
改めて眼をこらすと、ランクルの周りに数匹のキツネが、
そこかしこで、こっちを密かに静かに窺っているのが見えた。
いったいどこに住んでいるのだろうか。
水はもちろん、食べるものなんて全然見あたらないこの辺りで。
不思議に思いながらも、
嬉々として彼らを追いかけるガエディを見つめていると、
おっさんが、食事の準備を終えて、
今夜のディナーをおいらに差しだした。
まぜご飯とスープ、パンとそれに挟む具だったような記憶がある。
。。。だって、もう一年以上昔の話なんだもん!
いづれにせよ、かなりうまかったのを今でも覚えている。
食事も終わり、まったりした時間を思い出した。
ガエディは相変わらずキツネと鬼ごっこをしている。
おいらは、ランクルから少し離れて、
何もない砂原の上に仰向けに横になり、
そして。
日本から遙か遠く離れた同じ空を見つめる。
白砂漠の空気はすっかり黒くなり、
振り返ると、ランクル前のキャンプファイヤーだけが
ただハッキリと目に見える。
漆黒の空は、徐々に白くなり始めた。
………。
…しかし。
東の空が明るんできたのである!
??
??!
………。
…。
あ。。。。。。
ふと、エジプトに来た初日の夜。
考古学博物館前で、空港から着たバスを降りたとき。
空に煌々と輝いていた物を思い出した。。。。
それは「月」でした。
それもほぼ「満月」。
満月といえば、ほぼすべてを照らし出す夜の太陽。
ああ。その瞬間、はるばるエジプトまで満天の星空を見に来たという。
自分の幼い頃からの夢である、
砂漠で満点の星空を見るという目的は、
そう全く果たせないことを完全に悟ったのである。
もしも、月がなかったら。
あの、名古屋万博のパビリオンでみた、
あんな殺伐な地球にはなってほしくないけれども。
今日ほど。
そう。
これほど、修士研究テーマでもある「月」を
恨めしいと想ったことはなかった。
徐々に上ってくる月に対して、
西の方角には、周囲のすべての物たちが影を伸ばし出す。
せっかく砂漠を映し始めた白い星砂たちも、
東の空から、あまりにも急激に姿を隠しだしたのだった。
まてよっ。
まてってばさ〜。
おいらの願いもむなしく、
やがて札幌や東京の空と変わらない空が現れた。
ただ違うのは、
月の光が、思いの外おいらを照らしているってことだけ。
そう。
普段都会では周囲の光でなおさら気づかないが。
月の光という物は、想っている以上に明るいってこと。
周囲の風景がハッキリと見える。
昼間の太陽とは違う、
なんだか魅惑な。何か酔ってしまいそうな魔法の光。
太古の人々にとって、
月が特別な存在であることを深く納得してしまった。
西洋の人たちが、人間を狂気に引き込むと考えたというのも
確かに納得してしまうことだと感じた。
東洋の人たちが、月を女性と見立てたのも無理はない。
かぐや姫だって月の出身だものね。
とにかく、魅惑的な空気に包まれた自分。
ふと、空をみると。
ひときわ明るく輝くいくつかの星々の間を縫って、
一点の星が、西から東にツーーーーっと動いているのが見えた!
え?
なんだなんだ??
………。
しばし考え回った結果、
おそらく、ISSか人工衛星だという結論に至った。
UFOってことはないでしょ。たぶんね。
んでも、人工物体を、
夜の空に認めるのは初めての経験だった故、
結構感動したのであった。
満点の星は見られそうもなかったけれども、
まぁ、よしとすることにした。
気がつくと、ガエディがおいらのまねをして
おいらの横に寝っ転がっていた。
おいらは興奮した口調で
「ガエディ! 人工衛星が見えるぜ!
ほら!あそこ、動いている星があるべ? あれ、人工衛星だぜ!」
ガエディは全く興味がなさそうに、
「×◎▲□◇〒≈綺–∞¢¬≤µ∫√ç¬π!!!!」
叫んでいた。。。。
ちょっと、悲しかった。。。
第33夜につづくっ!