エジプト旅

エジプトどうでしょう 第31夜

大学院2年生だった2007年8月末。
徐に思いつき、一人で向かったエジプトの旅日記。

帰国後、mixi上に書き溜めた未完の旅行記を完結すべく、一先ず公開済み記事を誤記脱字以外はそのままの姿でリターンズしてみる!

※古い話題が随所にありますが、2007年執筆当時のママにお送りしております 笑

2007年8月27日~9月3日のエジプトぶらり一人旅の記
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

前夜までの「エジどう」→

エジプト観光第1日目、あの三大ピラミッド群と初対面。デカさに圧倒。
念願の砂漠キャンプに向かうため、翌日夕方バフレイア・オアシスから
ひたすら車で2時間爆走。時刻は18時半。とうとうキャンプ地に到着。

第31夜は、黄昏れる空を眺めつつ、ガエディとたわむれるトコから。

やがて沈みそうな太陽の細い光を浴びながら、
おそるおそる車から降りてみた。

なんのことはない。
ただの砂である。

しかし周囲の風景は明らかに石狩浜や沖縄の砂浜とは異なってる。
何てったって、海がないな(笑)

周囲の白い奇妙な形をした岩石と同じものが、
ところどころ地面からも露出していた。
さわってみると、思いっきりの石灰岩。

風と感じるような空気の流れは身体に感じられなかったけれども、
しかし、確かに見えない風があるようで。
長い時間をかけて、奇岩の大地を砂の中から露わにしているようだった。

いったい、この大量の砂々はどこからやって来たんだろうか。
今立っている場所から見た、
かつての海の底の風景は一体全体どんな景色だったんだろうか。

沈みそうな太陽。
周囲の白い奇岩たち。

おいらを乗せてきたランクル。

とにかくもおいらは写真を撮りまくった。

ガイドのおっさんが、いつの間にか少し離れた高台の方から。
おいらを手招きで呼んでいる。

行ってみると、白い奇岩が広く露出している地面に、
無数の黒い物体が転がっていた。何個も何個も。

おっさんは言う。

「こいつらは、化石なんだわ。」

転がっているそいつらの何個かを拾い上げてみる。
たしかに化石のようだ。

カタツムリの巻き貝のような。
人差し指程度の黒い化石。

小さな木の細い枝のような。
赤ちゃんの手指程の長さの黒い化石。

とにかくたくさん落ちている。

おっさんはアラビアなまりの英語で、いろいろ解説してくれている。

おいらは、こいつは土産に丁度良い!と思って、
話、上の空で持てるだけ拾い集める。

確かにココは海の底だったらしい。

再び周囲の世界をぐるりと見回す。
すこし離れた下の方に、
ランクルが無言で長い陰を伸ばしているのが見える。

気がつけば、周囲の無数の奇岩たちも。
黄昏れたオレンジ色の太陽を受けて、一斉に影を伸ばしているようだし、
東の空はと言えば、隙間のない濃いブルーに。
全くきれいに染まりはじめたようだった。
おいらが一番好きな瞬間、一番好きな色である。

「おお。マジック・アワーよ」…なんて?

とにもかくにもね。

いよいよ満点の星々が姿を現すのである!
この砂漠キャンプの最大の目的は、
億万点の星空を寝っ転がりながら眺めることであったのだ!

あと少しで。
そう。
ものの10数分で。地平線から徐々に白い砂たちが東の空に現れる。
おいらは、彼らに見送られて沈んでしまう太陽を見送るため、
その高台の白い大地に腰を下ろした。

…、

………。

…、
なんだろね。
同じ夕日なら。もう何度も見ているはずなのに。
しかし今の夕日は。
なんだかもう、一生忘れられないモノになりそうな予感がしてきた。

同じ夕日がどうしてこんなにも静かなんだろうか。

……。

喧噪の中で見る夕日。

砂漠で見る夕日。

…、

どちらも同じ太陽なのに。
周囲の異なる世界が、同じモノにも異なる印象を与える事実。

…。

なぜだか悠久の時間を感じさせられた。

…。

……。…。

……………。

……………………。。。
(う、うるさいなぁ。)

せっかく夕日に感動しているおいらの周りで、
おっさんの息子・ガエディがはしゃぎまくる。
走り回って、はしゃぎまくっているのだ。

「×◎▲□◇〒≈綺–∞¢¬≤µ∫√ç¬π!!!!」

(ん、もぉー。せっかく良い気分なのに。
 砂漠を満喫してるのに・・・。)
(おっさんもおっさんだよ。ちゃんと監督しててくれなきゃぁ。ねぇ。)
(せっかく悠久の時間を愉しんでいたって言うのにぃ。。。)

ふと、おっさんを見る。

おっさん、携帯で誰かと大声で話し出してる。

(って、おい! おっさん!!)

 「×◎▲□◇〒≈綺–∞¢¬≤µ∫√ç¬π!!!!」

(おっさん、声でけぇよ。。。)

結局。
沈む夕日を無音の世界で見送ることは出来なかったのであった。。。

第32夜につづく!

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