エジプト旅

エジプトどうでしょう 第29夜

大学院2年生だった2007年8月末。
徐に思いつき、一人で向かったエジプトの旅日記。

帰国後、mixi上に書き溜めた未完の旅行記を完結すべく、一先ず公開済み記事を誤記脱字以外はそのままの姿でリターンズしてみる!

※古い話題が随所にありますが、2007年執筆当時のママにお送りしております 笑

2007年8月27日~9月3日のエジプトぶらり一人旅の記
将来、歳喰った時の為の備忘録としてココに記す。

前夜までの「エジどう」→

エジプト観光第1日目は、あの三大ピラミッド群と初対面。デカさに圧倒。
翌朝、念願の砂漠キャンプに向かう。
昼頃、カイロから車で5時間のバフレイア・オアシスに到着。
そしてその夕方、砂漠キャンプに出発した。

第29夜は、出発しておよそ30分。本格的に砂漠エリアに突入したとこから。

ぶぉーーーーーー。

ひょっとしたらジープじゃなくて、
トヨタのランクルだったかもしれないクルマに揺られ、
猛スピードで自分だけの道路をガイドのおっさんとともに疾走する。

本当に何もない。
対向車ともほとんど出会わないし。
自分だけの「ノシーン」とした暑い時間が、
ただただ目に届くようだった。

出発して30分くらい。
最後に見たオアシスを最後に、
緑は一切視界からは消えていた。

(もう一度来たいなぁ。)

まだキャンプすらしていないけれども、
今の時点で、すでに再度も来てみたい気分になっていた。
猛スピードのランクルから目に入る景色は、
想像以上の迫力を持って自分を包み込んでくる。

突如、礫の蒔かれた砂原の中に。
ぽつんと、高速の料金所のような屋根のあるゲートが見えてきた。

「本当はココでみんなパスポートを見せなきゃならいんだぜ」

おっさんが、オレに得意そうに話しかけてきた。

さっきの関所みたいなのと同じで。
べつに国境というわけじゃないが、
不審者チェックを行っているらしい。

旅行者などの外国人はみな、
ここでパスポートチェックを受けることになってるらしい。

「だけど、お前さんは、見せなくても通れるんだぜ。」
「なぜ通れるかって?
 オレの顔があれば誰でも一緒に通過できるんだぜ!」

どうやら、このおっさん。
この辺りではなかなか顔の知られた人物らしい。
ひょっとしたらオアシスの顔役だったのかしら。

どうだ? スゴイだろ?的な顔を見せるおっさん。

キャンプ道具とは別に乗せてきた食料を、
ゲートの側の小さな小屋から出てきた、強面の男達に渡していた。

おっさんたちはしばし談笑し、ゲートを後にした。

ぶぉーーーーーー。

再び何も無い道路を、ただひたすらに猛スピードで走り出した。

はるか遠くには、
小さい山がいくつもいくつもぼやけながら。
淡蒼な色を熱気に鷹揚としてさらしていた。
それは、ちょうど。火星に着陸した探査機が送ってきたかのような風景。

突然、上り坂になった。
全てが巨大で悠然としている風景が車窓に迫る。
ランクルは大きくカーブして、その小山を登っていく。

時たま、おっさんがサービスのつもりで
スピードに緩急をつける。

そしてまた突然。
ランクルの風を切る轟音が辺りの風景に張り付いたかのように。
周囲から変化という経過が消え失せたかのように。
車窓の風景が止まってしまった。

ここが地球の上の一部であることを、
一瞬忘れさせてしまうかのような風景。

なんと周囲ぐるりの風景が地平線で囲まれたのである。

北海道にいれば、たしかに地平線は見ることができる。
しかし。同じ場所に立って360度回転すると、
かならず山やら海やらの風景が入っていた。

しかし。

しかしである。
今、目前にある風景は。
図らずも本当の360度の地平線なのである。

正直スゴイと感じた。
地球上に、日本の緑豊かな風景とは異なる世界が、
実際にこのように存在していたとは。

感動のあまり、写真を撮りまくった。

それからどのくらいだろうか。
時刻にして午後6時30分頃。
おっさんはいきなりクルマを左折させた。
何もない道路から、本当に何もない何もない。
まさにオフロードの世界に突入した。

一応、目印のため、
ちょっとした小石が並べられてはいるが、
目の前に広がるのは、舗装された道路ではなく、
ただたんに砂の海。

前に来たクルマの轍をたどりながら、
いよいよ今晩のキャンプ場に向かう。

第30夜につづく。

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